【実測レポート】 ローマの線量はチェルノブイリ近くの2〜3倍

さて、一通りキエフの街を測定しましたが、実はキエフじゃなくてチェルノブイリにも行くつもりでした。6月らへんにチェルノブイリツアーがあるのを確認してたので、その時点でチケット取ってたんです。取ってたんです。なのに



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……夏になってまさかのツアー中止! ウクライナの非常事態省(←ウクライナでは非常事態が一つの省庁に!)が「チェルノブイリにミーハー観光客を入れるな!」って激怒したという噂。いや、僕は素人なりに真面目に調査したかったんですが。。。航空券買った直後に梯子を外されました。
ウクライナ政府といろいろやりとりして結局入れなかったけど、衆議院議員の柿沢先生が視察レポート上げてらっしゃるので良ければ参考にしてくださいね(注1)



これじゃ何のために行ったのか分からないので目的変更です。とりあえず線量が高いと噂されるローマに向かいます。
最初に向かったのはキエフから南下して隣国のモルドバ
国内最大の教会前で0.09μSv/h http://www.youtube.com/watch?v=J8gwYj5l4Uk



次に南下してルーマニアの首都ブカレスト
米国のペンタゴンに次いで世界で二番目に大きい建物と言う国民の館の屋上です。故チャウシェスクが国民のお金を使いまくって作らせたんだけど、建築中にチャウシェスク政権が倒れたために一部未完の建物。地下には作りかけの核シェルターもあります。
0.06μSv/h 低い!ちなみに動画の最後で撮った施設が何なのか気になります。原発じゃないよね?



更に南下するとブルガリア。有名なヨーグルトはスープにも入ってます。日本の味噌汁のノリでヨーグルトスープ。レストランでそんなスープを飲んでたら地元のオヤジさんと友達になりました。福島の事故についてどう思うか聞いたところ「そんな事故知らん」で終了。うん。全世界の人が知ってるかと思ってた僕は考えすぎだったようです。
とりあえず線量調査。
アレクサンダル・ネフスキー寺院前で0.15μSv/h
ソフィア大学前で0.13μSv/h



そして次はいよいよローマです。ローマには飛行機で行ったので機内の線量も測定。一番高い地点で1.15μSv/hです。ただ、2,3時間のフライト中で1μSv/hを超えてたのは全体の10%くらい。フライト中ず〜〜と線量が高い訳じゃないです。

ローマに到着して最初に計測したのはローマ駅の線量。予想通り超高い!記録した0.25μSv/hキエフの二倍!チェルノブイリって何だったの?高さに驚きながらヴェネチアに向かいます。で、ヴェネチアのサンマルコ大聖堂前を計測したらローマ駅より高い0.28μSv/h!

どうやらイタリアで線量が高いのはローマ駅前だけじゃなさそう。ローマに戻って今度はサンピエトロ大聖堂前を測定しますが0.26μSv/hとやはり高い。スペイン坂前なんて0.40μSv/hを記録した。

そして空港。いよいよイタリアを離れます。空港も高いと思いきやまさかの0.07μSv/h。イタリアにも線量が低いとこはあるんだね。とりあえずまたまた機内の線量を測ります。


高度11,455mで最高1.88μSv/h!


でも高度がちょっと変わると数字はだいぶ変わります。高度と線量は正比例じゃない。
これ見るとわかるよね(注2)


そんなこんなで到着したセルビア。ちょっと前まで紛争してたためNATO空爆跡が残ってます。

線量は0.06μSv/hと低め。他の地点も0.10μSv/h以下のところが大半でした。今回の旅で一番低いね。把握したので帰国することにしました。


ちなみに帰国便が福島上空を飛んだのでここも計測しました。機内の数字としてはイタリア→セルビア便とあんまり変わらない印象。





ということで今回の旅程をまとめるとこんな感じ。



えっと…



チェルノブイリ関係ないじゃん!(注3)



■結論■
・線量だけで見ればチェルノブイリから100キロ地点よりもローマの方がずっと高い
・福島の一部等を除けば、ローマより線量が高い場所は日本にもほとんどない
・増加した健康リスクを考えるのに空間線量だけでは不十分
  
→空間線量は「自然放射」と「汚染による上昇分」が合算されてる(注4)
  →ローマの空間線量は高いけど人々は健康に暮らしている
  →この調査では内部被曝を計算に入れていない
・どうしても「0.1μSv/hの空間線量も許せない!」って人の移住先にはセルビアがいいのかも(笑)




どーも僕でした。

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注1:計器が違うので、同じような場所でも柿沢先生と僕の測定値は若干の誤差があるはずです。必ずしも柿沢先生の1μSv/h=僕の1μSv/hじゃないです
注2:モニターに飛行機の高度が出てますが表示はかなり遅れてた印象です。本当はもうちょっと早く高度を下げてると思います>
注3:正確には「チェルノブイリからの距離と線量に明確な相関は見られないじゃん」
注4:基本的には自然由来も人口由来も同じ影響を受けますが、元から線量が高いだけの場所を今になって避難区域だとか除染目標以上だとか言うのは変でしょ。逆に自然放射で到達しちゃう除染目標値を設定しようとするなら「自然なレベルの数値を異常と判断してる」ってことです