「呪い」の口を閉じてネ →祝い

ソフトバンク孫社長が燃えている。個人資産から100億円以上を寄付したと思ったら、これまた10億円を出して「自然エネルギー財団」を設置するらしい。

自然エネルギーって言っても原発を置き換えるために必要な量は半端じゃないんです。原発1機と同じだけ発電するのにどれだけの太陽光パネルが必要か知ってますか?山手線の内側丸々全部です。福島第一原発はこれが6機もあったから山手線内側6個分の土地が必要になる。…えっと、狭い日本のどこにそんな土地があるの?
しかもそんだけのパネルを作るとしたら原料が足りなくて大変なことになる。中国からの輸入してるレアアースなんか全然足りない。中国以外で採掘しようとすると一緒に放射性物質が沢山出てきちゃうしね。

僕は「科学的な知識を伴わない反原発派」も、「原発利権のために現実以上に安全性を唱える原発推進派」も嫌いです。なので今回の自然エネルギー財団についても醒めた目で見てました。土地が確保出来ないしビジネスとして成り立たたんよって。


【そうだ!特区にしよう!】
でも、ふと思い出しました。あるじゃん。そんな場所。山手線何個分もある土地。

この赤い部分です。


ここって管総理も「10年、20年住めない」とか言ってる土地だし、農業なんて当分無理。人が住めないなら他の産業も難しいよね。じゃあここにソーラーパネル置きまくればいいじゃん。ついでに近海も汚染水の影響で漁業出来ないでしょ?こっちには風力発電機置き放題だよね(潮力でもいいけど)

ってことで「立ち入り禁止区域」に指定するなら、そのまま「自然エネルギー特区」にしちゃえばいいんじゃない?幸いこの地域の大部分はチェルノブイリで汚染された土地よりはずっとマシだから「普通に定住するのはちょっと危ないかも」しんないけど「防護服を着てパネルの設置作業くらいは出来る」ってとこが多そう。
この地域に住んでた人って元々原発関連の人が多いから、凄く多くの人が失業してる訳。そんな人にクリーンエネルギーの仕事を作ることも出来る。


さらに、こんだけ大規模な太陽光発電場用地が作られれば世界が誇る日本の技術力が動かない訳がない。昭和シェルとかはレアアースを使わないパネルの技術を開発中だし、かつて何年も世界一の売上を誇ったシャープだって黙ってないはず。

ついでに言えば世界的に有名になってしまったフクシマの知名度を逆に利用することが出来る。世界に対して「こんなにクリーンな特区を作ってますよ!」ってアピールにもなるし、パネルの設置作業をする人がいれば、立ち入り禁止にするしかなかったチェルノブイリよりは「だいぶマシだね」ってことも分かってもらえる(→世界的風評被害の軽減)

つまり世界に知られたネガティブイメージを「クリーンエナジーの広告塔」に変えられる訳。


で、フクシマが「世界一のクリーンエナジー都市」として認知されると、次に得をするのはパネルを作った企業です。「あの有名なフクシマに納品してる企業」ってことになるんですね。
シャープの液晶テレビは「亀山製造モデル」ってブランドを付けて売ってたりしたけど、ソーラーパネルは「フクシマ納入モデル」で世界に売込めばいいんです。なんたって「世界一有名な太陽光発電所」ですからね。ブランド力は亀山以上です。

で、何十年か先には世界中で「クリーンエネルギー100%に!」みたいな話が出てくると思います。何にも使ってないゴビ砂漠にパネルを敷き詰めろ!ってことになるかもしんない。
そんな時に使えるのがフクシマで培ったノウハウです。他の国はそんなに大規模な土地にパネルを敷き詰めたことはありませんから、日本は唯一の技術国になります。国家レベルでのビッグビジネスで圧倒的優位に立てるんです(その時の総理、足引っ張らないでね)




【土地所有権は?】
ここで問題があります。「人の土地を勝手に使っちゃうのはダメじゃない?」ってことと「誰がパネル置くの?」ってことです。

元々フクシマに土地を持ってた人への補償は東電が行うことになってるけど、払いきれない部分は国が払うことになる。国民のお金が使われるんだよね。しかも、その「国民」の中には「被災者」も含まれてる。だからこの額はなるべく小さくしたい。

じゃあ、この土地を「政府が一度買い取って」、「発電事業をしたい企業に売る」ってことにすればいいんじゃない?これなら企業の買い取り価格分だけ国の賠償額は小さく出来るよね?


「汚染された土地」をどこの企業が買うの?って問題もあります。太陽光の費用対効果はあんまり高く無いから発電ビジネスやっても当分は儲からない。何年も赤字が出そう。でもフクシマを「クリーンエナジー特区」にすればその土地は「エコの象徴」に変わります。企業にとってはイメージアップのチャンスになるんです。イメージアップになるなら「多少赤字でも買う!」って企業は出てくるよね。

ついでに特区で作られた電力を「市場がプラスに評価する指標」があるといい。「A社は一日で100万kWh発電、B社は50万kWh」みたいなのを可視化して、企業のイメージアップを後押しする。「フクシマでの発電量一位!」ってのは「世界一クリーンな会社」の証明になる。これは企業にとっては発電能力をアップするインセンティブにもなります。
そんでもって特区内の発電能力比率でポートフォリオを組むような金融商品が出来れば面白いかも。「この金融商品を買うとエコに協力することになります!」って話になれば一定数売れるよね。自社株が売れれば企業経営に有利だから、これも企業が発電ビジネスに乗り出すインセンティブになる。

◆むしろ特区の『発電量』に対して国が補助金を出してもいい。
今まで国は「クリーンエナジーの開発」にお金をいっぱい出してきたけど、それって「研究をすること」にお金を出すのであって「結果」にお金を出すんじゃないんだよね。そうすると企業は「お金もらったらウチではこんな研究します!」ってのを政府にアピールするけど、研究の結果が想像以上でも想像以下でもどーでもいい話。だからお金を貰ったら手を抜きたくなるのは当たり前。肝心な「研究結果」は二の次で「お金をもらうこと」に集中するから、政府官僚にお金を渡せるように天下りをさせる。だから「無駄な研究」と「官僚&企業の利益」のために血税が無駄になってる。

逆に「特区での発電結果」に補助金が出るなら「無駄な研究」に血税が使われることはない。各企業は補助金のために「本当に効率が良い発電方法」を研究する。

そんな流れで「企業間の競争」が起これば、どんどん費用対効果の高いクリーンエナジーが作られる。太陽光より風力のが効率がいいってことになれば風力の開発が進む。太陽光パネルの上に透明な風車を付けて「ソーラー+風力発電」ってのが有効だったらこっちの技術が発展するよね。

何にしろ『市場』を上手く利用することによって日本は強くなれるってこと。市場を利用しない補助金は官僚の財布を強くするだけだけどね。



【どうやって国益につなげる?】
で、ここで問題。現在の日本のクリーンエナジー技術は世界でも有数ですが、決して一位ではありません。クリーン特区を作っても海外メーカーに全部美味しいとこ持ってかれちゃったら切ないよね。日本から補助金ダダ漏れ。ブランド力もノウハウも蓄積しないし、工場は日本じゃないから雇用も増えない。

そーゆーとこも先回りして考えときたいよね。

一つ考えられるのは「特区で使える装置」は「特定の場所で組立てなきゃいけない」ようにすること。例えば「フクシマ」では「福島県」で作った太陽パネルしか使えませんよ!みたいなことにする。WTOからダメ出しされるかもしれないけど、福島県ごと「復興特区」ってことにすれば世界も強く攻撃は出来ないかも。
フクシマはエコ特区で、福島県は復興特区ね。こーすれば福島県に工場が出来る。雇用も増える。

で、電力って「遠くには送れない」から、フクシマで作った電気はなるべく近場で消費した方がいいんだよね。フクシマで沢山発電されるようになれば福島県の工場も安い電気代で運転出来るかもしんない。納入先であるフクシマへの運搬コストも低い。これって最強じゃね?

この条件でも外国メーカーが参入してきたら、それはそれで雇用が増えるから願ったり叶ったりだよね。むしろ日本は外資を誘致するために四苦八苦してるんだから。Fukushimaに世界の企業が集まれば原発のネガティブイメージも緩和される。




【まとめ】
フクシマをエコ特区にすると
・土地の有効利用が可能
・雇用が作れる
・日本の技術力上昇
・未来の地球開発で有利
・「日本」への風評被害が緩和
・クリーンジャパンの発信
・国が「技術開発」に補助金出したら「どっかの官僚が儲けた」ってことです
・でも本当に大事なのは福島の人の気持ちです(→建設的な土地利用が上記シナリオしか思いつかなかったんだけど、フクシマの人が「汚染されててもそのままの故郷がいい!」って言うならその方がいいです。元通りに出来ないのが本当に悔しい。)


まあ、こんだけ大規模な開発になると生物学的な遷移とか「対自然の問題」が出てきそうだけど。人の目が届かないことによる弊害も確実に出てくるよね。
それらについての処方箋は何か思いついたら書きます。

ちなみに孫さんも勘違いしてるのかもだけど、今回のエネルギー問題の肝は「原発の是非」じゃないんだよね。そこんとこもそのうち書きます。


ではでは